連載小説HIDTfoever 1話「終わりのない道はない」
HIDTforever
第一話「終わりのない道はない」
童貞に始まりがあるならば、必ず終わりはある。それが人生の終わりと共に来るか、それが女の子と一緒に来るかは分からない。卒業という2文字を聞いた時思う感情は、人によって様々だ。
一年の入学式。
僕はあの日誓った目標を今でも忘れない。
DTと蔑まされた、あの日常。全てが僕を変えるきっかけに過ぎなかった。
あの日から三年の月日が経った今。まっさらな原稿用紙を目に、使いすぎてボロボロになったペンを握りながら、一文字一文字確実に、僕の思い出を書いていく。
これは僕が高校生活を通して経験した、長い3年間の物語だ。
〜4月6日〜 入学式
「HI〜!学校行く時間よ!高校からはちゃんと行くんでしょ!とっとと準備しなさい!」
お母さんの声が小さなアパートの一室に響く。
僕の家族は父親が単身赴任でアメリカに出張。
今は10歳の妹とお母さんの二人で暮らしている。
僕は昔から人見知りの性格のためかあまり友達ができず、ネットでしかイキれないガチのインキャだ。中学の時は基本的に毎日小説を読んでいたし、あまり活発的なタイプとは言えないだろう。
そんな僕にも趣味はある。
それがポケモンだ。毎日のようにリアルでは到底無理な孵化厳選に没頭し、ランクマッチに潜っている。あまり強いとは言えないが、なぜかずっと続いている唯一の趣味だ。
ポケモンから学んだことはあまりないが、冷静に考える力、最終日潜るメンタル、諦めない心。他の人と比べて突出してるのはそのくらいしかない。
「お兄ちゃん....顔死んでるよ?今日が初日なんでしょ!しっかりしなきゃお友達たくさんできないよ!」
「うるせぇ、余計なお世話や。でもありがとな」
妹はいつもこうやって僕を心配してくれる。こんな兄の元でなんでこんなにいい子に育ったんだろう。カイオーガドサイドン対面で大雨の中ドサイドンがが突っ張るくらい意味がわからない。
僕は重い腰を上げてベットから出て、新品の制服に腕を通す。
新品のためか袖が余ってしまってあまり見栄えが良くない。普段ならあまり気にしないことだが、初日ということで少しは気になってしまう。
「行ってきます...」
寝起きで元気がないわけではないが、太みのない弱弱しい声が部屋のドアに響いた。
新学期ということもあり、たくさんの高校生が道を歩いている。
すでに何人かで集まって登校している人、ヘッドフォンをつけながら一人で登校しているひと、男女二人で登校してる人....。
「僕はどのようになるんかなぁ。」
今の自分からはこの先にどのような未来が待っているのか一才わからなかった。
新しい学校に着き席に着く。
周りを見渡すと、もうところどころグループができてるいるように感じた。
「とりあえず隣の子に話しかけてみるか」
「ねぇ、君、おれHIっていうんだ。よろしく。
君はなんていうの?」
「あ、あっ、、。俺は封筒。dtなんだよねよろしく」
そんなことは聞いていない。こいつはかなりの変わり者だということに僕は気づいた。
「そうなんだ。いや俺もだからさ、そんなに下向きに言うなよ。もっと誇ってもいいと思うぜ、まだ高校生なわけだし」
「お前はこのままDTでいいと思ってるの?
俺は嫌だ。人生は一度きりだし、人間の3代欲求は食欲、性欲、睡眠欲っていうだろ?」
「まぁそうだけど、、。」
僕はこれ以外の反応が出なかった。たしかにあまりdtについて考えたことはなかったからだ。
それが恥ずべきことなのか、恥ずべきことではないのか。
そもそもdtというのは誰が作って、なぜ卒業することが、人生の分岐点として用意されているのか。まずはそれを理解することが、卒業の第一歩なのかもしれないとも思った。
「今日は一緒に帰ろうや封筒。」
咄嗟に声が出てしまった。
「すまんwこの後、用事があるんやすまんなw」
僕は男にすら振られた気がして気分が悪かった。初日ということもあってあまり気にはならなかったが、こいつとはこの学校生活で何かとお世話になりそうな、そんな気がした。
「今日は一人で帰ろう。」
賑やかな大通りを一人で帰る。
最悪な新学期のスタートだ。
ー1話完ー