HIDT Forever 第14話 「2分間の救出作戦」
HIDT forever 14話
この作戦がHIの場合
「しぇーしぇー!ニーハオ!フウトウ、、後は頼んだぞ。」
「オウヨbrother!」
HIはそのまま真っ直ぐ伸びる通路を走り出した。その道はとても薄暗く、この先の彼らの行方を暗示しているようにも感じた。
それでもHIは力強く一歩ずつその道を確かに歩んでいく。
「よっし、作戦成功や。あとは封筒頼んだぞ。」
HIは作戦の第一段階成功に安堵を浮かべた。
そしてすぐさまポケットからHI自作の探知機を出し、彼女の行先を探知した。
「この先か。それにしても妙だな。なぜこんなにも人がいないんだ?本来ならもっと外務省勤務の人でごった返してるはずじゃ。」
HIは当然の疑問を浮かべた。
今日彼等が会ったのは唯一入り口で出会った彼一人だったからだ。
すでにこの場所が常軌を逸している何かおかしい場所だということを察するには事足りる事象が揃っていた。
「なんだこりゃ」
HIは封筒から別れた道を真っ直ぐに進み、トイレの方向とは別の方向からレーダーが反応したためその方向に歩みを進めた。
たしかにレーダーの反応は強さを増しているが今いる場所から離れれば遠くなり、戻っても遠くなるといった反応を見せた。
「こりゃこの地下っぽいな。でもどうやって...」
HIはあたりを見渡した。
よくあるアニメのパターンでは近くに秘密のドアがあり、そこから中に入れるようなことがあると思ったからだ。
周りには長年使われていない排気口と、怪しげな非常ボタンがあった。
「なんだこのボタン。」
HIがここに来るまでにもこれでもかというくらいに沢山
の非常ボタンがあった。
ボタンの形は至ってシンプルな赤い配色に「SOS」の文字。しかもなぜかSOSは文字盤になっており、文字を動かせるような仕組みになっていた。
なぜこんなにもボタンがあるのかはよくわからなかったが、何か違和感を感じた。
「おい、この文字。(SOS)じゃなくて、よく見たら(SO Ƨ)って書いてやがる。sの文字が反対や。」
「SOSってそもそもなんの略だったっけ....なんかどこかで聞いたことがある気が...」
HIの目頭が熱くなる。必死に何かを考える時、いつもHIは決まったポーズをする。
手をグーにしてその親指と人差し指を顎の下に当てる。なぜかはわからないがこうやっている時が一番集中できる。
HIは15年前のある日、お父さんと過ごしたある思い出を思い出した。
〜15年前〜
HIは昔お父さんとある島にサバイバルに行ったことがあった。これはHIがまだ4つのときだ。
今はアメリカに出張に行ってしまっているため、滅多に会うことはないが、昔は休日によくHIと遊んでくれる理想の父親だった。
「お父さん!こんな大きな魚つれた!」
「すごいな、HI。俺は全然釣れねえや。嫌われてるのかもな😭」
「そんなことないよ!keep trying だよお父さん」
「お、いい英単語知ってるじゃねえかHI。どこで覚えたんだ?」
「この前アニメで言ってた。どんな事も、たとえばかにされても挑戦し続けることが大切だって。」
「あぁ。いい言葉だ。俺にもめっちゃ刺さるよ。そういえばHI、この世で一番意味の多い英単語ってなんだと思う?」
「えいたんご? 英語ぜんぜんわかんないけど。fu◯kくらいしか」
「お、おう。お前その単語はあまり俺以外には使わない方がいいぞ...。いや俺にも使うな。
そうだな。SOSって知ってるか?」
「うん。しまでひとりぼっちになったひとがすなはまにかくやつ。」
「まぁ、おおむね正解だ。SOSっていうのは何か異常事態を伝えるために長年使われてきた。意味としてはSave our soulsやSave our shipなんかと言われてるが、これは全部俗説だ。意味が決まってない分、ある諜報機関ではその意味を独自に設定し、それを暗号として使うことがあるらしい。」
「そうなんだ。じゃあ僕とパパの二人のでの意味を決めようよ」
「いいな。じゃあ....」
HIの父親は砂浜に大きくSOSを書き始めた。
どこで拾ったのかわからないとても大きな木の棒で、砂浜という白いキャンパスに力強くゆっくりと。
「おれらはピンチすらもチャンスにかえる。
........っていう意味にしよう。」
「うん!」
この時父がなんて言ったかは鮮明には思い出せなかった。
でもこの砂浜での思い出は忘れることなく、HIの頭にしっかりと残っていた。
そしてこの先も数少ない父親との思い出として残りつづけるだろう。
〜今に戻る〜
「そうや、たしかSOSの本来の意味はSave our soulsやSave our shipという意味って聞いたことがあるが、確かどれも俗説。特に本来の意味はなかったはずや。」
HIは昔父親が言っていたことをふと思い出した。
「意味がないということは、その使い方次第で色々な意味に置き換えることもできるってたしか昔お父さんが言ってた。
そうなるとこれは...何か意味があるはずや。次に進むための何か意味が。」
HIはその場で立ちすくみ、小さな脳みそをフル回転させて考えた。
「そうか。わかったかも。」
HIはそういうとおもむろに、文字盤に手を伸ばし、(Ƨ)の文字を本の形に直した。
ガチャッ
大きな音と共に目の前の壁に亀裂が入り、地下に続く階段が現れた。
「switch(back) opposite Ƨ 反対になっているsを戻せという意味やな。日頃からポケモンで思考能力は鍛えてあるからな。俺にとっては簡単や」
HIは謎が解けた自分を自慢げに思った。
階段は光も灯ってないため真っ暗で、3、4段ほどしか先が見えない。
「俺にはこれがあるからな。まじで便利やなぁ俺の作品は..」
HIのバッジにはライトの機能も搭載されているため足元を照らし安全に階段を降りることができた。
ライトで階段を照らしてみても終わりは見えず、HIはとりあえずこのまま階段を進んでいくことにした。
しばらく階段を降っていくと
大きな広間のような空間に着いた。
(ゴオオォッ)
そこでは奇妙な機械音が響き渡りHIの恐怖感を更にあおいだ。
「なんなんだここは。なぜ外務省の中にこんな施設が?どうなってるんや。」
HIは動揺しながらも広間を足元を照らしながら慎重に前に進んでいく。
すると少し進んだところである男たちの話し声が聞こえた。
「お前も残念だったな、こんなところに連れてこられて。すぐ父親に会わせてやるよ。」
「......」
「お前のその病気はなったが人生の終わり。次のリーダーを生み出すために命を捨てることになる。感謝しろ。お前みたいな無能が無能なままで終わらず、次の世代への糧になるんだからな。ハハハ」
「部長。転送装置。そろそろ準備ができました。」
「よくやった。お前みたいに可愛いやつをあっちに飛ばすことは少し痛まれるがこれも仕事だ。この世の中を作るためにとても大事なな、ハハハッ」
「ちっ、どうなってやがる。」
HIの目の前にはあの時の女の子と男が二人。その前には転送装置と呼ばれるとても大きな機械があった。
転送装置は大きなカプセルのような形をしており、特殊な仕組みでどこかに送ることができる瞬間移動装置のように見えた。
周りの音が大きなことと、彼ら二人が目の前の彼女に集中しすぎている事もあり、HIの存在には全く気付いてないように見えた。
「よくわからんが、あそこにあの子が入れられ、あの二人にボタンを押された瞬間に俺らのミッションが終わるって言った感じだろう。
幸い敵は二人や、まだなんとかなりそうや。でもどうする。封筒を今すぐ呼んで2vs2をしかけに行くべきなんか?....」
HIはとりあえず近づくために前に出た。
距離として約10メートル。
HIは広間に雑にたくさん捨てられている段ボールの裏から男二人と彼女の様子をみた。
(プスゥゥン.....)
「ん?音が小さくなっていってるぞ....」
「部長。すいません、ちょっと調子が悪いみたいです今すぐ修理しますので少々お待ちを。」
「ったく。何やってんだお前。早く修理しろや新人が。全く使えねぇな...」
「すいやせん....」
「なぜかトラブってるみたいや...これはチャンス。なんとかして彼女を奪還して封筒と一緒に逃げなくては。」
(トーン トン トーン トン...)
「ん。これは...」
HIは彼女の方を見る。
するとHIは彼女と目があった。
彼女は今にも壊れてしまいそうなくらい恐怖に怯える顔をしているのが遠くからでもよく感じ取れた。目から涙を堪えるあまり、顔に力がこもりひどくこわばった顔をしていた。
彼女は地面を叩きながら何かを伝えているように見えた。
「これは、、モールス信号や。昔お父さんからなぜか覚えておけと言われたことがあってなんとなくわかる。」
(トン トーン トントン....)
「これは、ニ ゲ テ。いやいやいや、俺がこの場から逃げるわけないやろ。諦めんな。」
HIはモールス音を返した。
(トン トーントントン....
ア キ ラ メ ル ナ)
「とりあえず封筒を呼ぼう。えーっと。まって暗号って何回やったっけ....。たしか、ピンチの時に早く助けにこいってやつと、来なくてもいいから逃げろの2個作ったよな。やべえ、どっちだ。あいつのことだから、後者をやっちまったら絶対逃げるぞ誓って。」
HIは時間もなかったため、曖昧な記憶の中とりあえずバッジを取り出し、一回音を鳴らした。
「あぁ。違かったら終わりや。自分で作ったのにこんな時に忘れるとは....」
「準備できました。すいやせん。いつでも送れます。」
「モタモタしやがって新人....よっし、転送を2分後に設定しろ。そしてこいつをぶちこむぞ。」
「了解。2分後転送準備。」
彼女は大きなカプセルのなかに強引に入れられた。
大きな音とともに機械に2分のタイマーが現れ時間を刻み始めた。
「チッ....あと2分で勝負が決まる。せめてまだこの場所が明るかったら策はあるんだが....。」
(残り 1分50秒です)
機械のナレーション音が辺りに響き渡る。
(残り1分30秒です)
「ハハハ...!!お前ももう終わりやな。向こうでお父さんと会えるといいな嬢ちゃん。まぁ無理かハハハ!」
「......」
(残り1分です エネルギー放出体制に移行します。)
「くっそ....ここまでなのか!?封筒は何してやがる。」
(パッ)
その瞬間辺り一面に光が灯った。
「な、なんだ!?誰だライトをつけたのは!?」
「え、これ押しちゃやばかったやつだった?ちょっと待ってやり直させてwww」
「なんだテメェ?何者だ。侵入者か!?」
「侵入者?何言ってやがる。友達を助けに来たんだよ。名前は封筒。無論DTさ。
おい、HIそんなところでコソコソ何やってんだ?早く助けて逃げるぞ。」
HIは封筒の考えなしの行動に突っ込むこともなかった。彼がこの状況を一つ前に動かしたことには変わりがなかったからだ。
「おっしゃぁぁ!!forever pudding反撃開始や!!」
「そのチーム名まだ覚えてたんか!おおお!!!」
(残り 30秒。 転送 準備)
END
(あとがき)
今回もここまで読んでくれた人たちありがとうございます!
ここからさらに物語が動いていくのでぜひお楽しみに。
伏線とか結構入れてるつもりだけど多分俺の書き方悪くて伝わらなそう。
そうとうしっかり読めてないと、いろいろ分からないことあると思うけどここからこの世界観の設定や仕組みが分かってくるのであきらめずに読んでほしい泣。
(結構頑張って書いたから誰か一人くらいには伝わってほしい)
でも全然流し読みでもうれしいです。
そろそろポケモンの最新作が発売ということで、ぼくも剣盾であと一回は結果を残して次の作品にいけたらなとひそかに思ってます。
夏が近づくにつれて暑くなってきているので、体調にはお互い気を付けて過ごしましょう!!
ではまた来週~!